大切なことは社外にあり

大切なことは社外にあり

廣榮堂という企業の特徴を表すキーワードのひとつが「旅」です。廣榮堂には旅が好きな人が自然と集まってきます。美味しいものに目がない、歴史が好き、各地の文化に興味がある。人が旅をする理由は様々です。旅の醍醐味といえば、訪れた場所で美味しいものを食べ、その土地ならではの文化、人に触れ、非日常ともいえる特別な時間を過ごすことではないでしょうか。廣榮堂ではそんな「旅」の経験が仕事と密接に結びついているのです。

社外にヒントあり

生菓子の職人は月に一回、東京での生菓子修行を通じて技と感性を磨いています。全国各地の和菓子職人が自らの作品を持ち寄り、師となる先生方にアドバイスをいただく大切な機会であると同時に、職人同士が切磋琢磨する場にもなっています。職人にとって、生菓子修行という「旅」が社外の師との出会いをもたらし、菓子作りに対する熱意の源泉となっているのです。より美味しく、よりきれいに、付加価値の高い生菓子作りのため、日々技術向上に努めています。

信頼関係で繋がる産地

日本有数のもち米の産地、北海道名寄市。廣榮堂のきびだんごの主原料であるもち米はここ名寄市で大切に作られています。廣榮堂では、毎年社員数名が「なよろ産業まつり」に参加し、きびだんごの販売や農家・JAの方々との交流を行います。名寄市で育まれたもち米がきびだんごに姿を変えて里帰りするとき、名寄市の方々は本当に温かく私たちを迎え入れてくれます。そして現地で生産者からもち米に対する熱い想いやものづくりへの誇りをお聞きする度に、「私たちもより良い商品作りに努めていこう」という思いでいっぱいになります。生産者との信頼関係は、実際に産地を訪れ、お会いすることでしか築くことができないものです。年に一回のこの日を社員も大変楽しみにしています。

国境を越えて、海を渡る廣榮堂

ときには舞台が海外になることもあります。台湾、シンガポール、ベトナム、タイなど東南アジアを中心に世界各地を旅し、商談や市場視察、きびだんごの販売を行いました。「岡山」も、「桃太郎」も、「きびだんご」も知らない人々に「廣榮堂のきびだんご」をどうアピールしていくのか。食文化、価値観、言語の異なる人々にとって魅力的な商品とは何か。海外での「旅」は私たちに実に多くの発見と驚きをもたらします。

2016年3月には、フランス・パリで開催された「羊羹コレクションin Paris」にも参加しました。全国11社の和菓子屋が集い、和菓子の魅力発信と羊羹の世界的な普及を目的とした同コレクションでは、岡山特産の備中白小豆と作州黒大豆を使った「備前古式羊羹」のほかに、ドライフルーツをのせた新しいタイプの羊羹「果音(カノン)」を開発し伝統と革新を表現、想像を超える好評を博しました。価値観や文化の異なる外国に身を置くことで、改めて和菓子の持つ力や素晴らしさを感じると同時に、自らの言葉で現地の人に伝える難しさや楽しさも知ることができました。

旅と仕事のすてきな関係

私たちは「旅」を通じて「仕事」を磨きます。具体的には、老舗和菓子屋や百貨店で気になる商品の食べ歩きを行ったり、新店舗の構想を得るために国内外の美術館を巡ったりもします。出張でスペインを訪れた際には、バル文化の研究ということで、バル巡りをしました。社外での多種多様な体験からヒントを得たり、個々の感性を磨いたりすることで、新たなアイデアやより良いサービスが生み出されるのです。

一流に触れる社員旅行

このように様々な形で各地を旅する廣榮堂。社員旅行は、数班に分かれて全員が参加できるように日程を組み、普段食べることのできない一流の料理を味わい、最高のおもてなしをうけたり、日本の伝統工芸や美術館をはじめとするアートに触れたりする機会を設けています。「一流のものをつくるためには、一流を知る必要がある」という社長の考えにより、毎年全国各地、ときには海外まで足を運び、各地の「良いもの」に出会うと同時に仲間との思い出をつくり、かけがえのない時間を過ごしています。

「旅」を通して、人は多くを学び、成長していくと廣榮堂では考えています。そして、この社員一人一人の成長が会社全体を前に進めていくのです。新入社員からベテランまで「旅」を楽しみ、仕事に生かしていく。廣榮堂では一人一人が主人公であり、旅人なのです。